前号で「異業界への転職のハードルの高さ」の話をいたしました。
今号では、同業界(学習塾業界)での転職活動の準備において重要な3つの視点からお話ししたいと思います。
(1)「自分は即戦力だ」という言語化
基本的に、採用する企業(学習塾)は「同業界から採用するなら即戦力」というのが前提となります。
ですので、まずは「自分が即戦力なのだ」ということを如何に応募先企業にインパクトある表現で理解・納得させるかが重要です。そのためには、自身の経験を「定量的に棚卸する」ことが大事です。「●●教室の教室長をしていました」「高校受験の英語の指導力には自信があります」「教材開発をしてきました」「新規校を開校してきました」では、インパクトも説得力もありません。
「●●教室の教室長として、就任時200人だった生徒数を3年で1.5倍の250人に増やしました」「自分の生徒で●●中学の合格者は5年で200人」「年間1200万円の赤字校舎を3年で1000万円の黒字校舎にしました」「直近10年で新規校を10校開校させ、2年目で全校舎黒字化しています」など。「数字」をもって「事実」を伝えていくことが重要です。
『即戦力とは、結果を出せる力がある(と思われる)こと』
まずは自らの棚卸にチャレンジしてみてください。
(2)マインドセット
転職するということは、わかりやすく言うと「よその家で暮らす」に近いことです。
「自分の家のルール」と「よその家のルール」が違うように、会社(学習塾)も1社1社ルールが違います。自分が育った家(環境)が全てと思うのではなく、よその家では「よそのルール」や「しきたり」があるということをしっかり認識することが重要です。
しかしながら実はこれが一番難しい。
なぜならば、経験者であればあるほど、「自分の論」や「自分のやりかた」に自信があるケースが多く、どうしてもそれに拘ってしまうことが散見されます。
一般的にも、大企業で働く管理職が中小企業の上級管理職に転職する際などによくあることですが、「前の会社では・・・」とついつい口に出したりしてしまいます。
年齢が高ければ高いほど、この「マインドセット」が難しいようです。
「柔軟性がない」と思われる最大の要因ですので、準備期間から戒めとしておきましょう。
(3)情報収集
同じ業界といっても、意外と他社の情報は持ち合わせていないケースが多いです。
また、同じエリアでしのぎを削っていると、感情的に「嫌悪感」をもつことすらあるかと思います。その感情を否定するつもりはありませんが、やはり転職は大きな決断ですので、感情的に判断することなく、情報をできる限り収集し、自分のキャリア感や仕事観、志向などと照らし合わせて、ベストもしくはよりベターな会社(仕事)を選ぶのが良いでしょう。
その上では、転職コンサルタントから求人情報を収集し、各塾の考え方や社風、今後の方針・方向性、実際の待遇状況、中途採用者の生声等をできるだけ集めることが重要です。そのためにも、転職エージェントを思いっきり使い倒すのが良いのではないでしょうか?
とはいえ、転職エージェントも情報収集のレベルはマチマチです。できるだけ質の良い情報をもっている転職エージェント、転職コンサルタントをパートナーとして一緒に活動していくのが良いかと思います。